これはおそらく、web3がweb2と競争する上で最も重要な優位性をもたらすかもしれません。
現在、ネットワークはプラットフォームの運営企業が所有する私有財産です。これらは、勝者が達成したネットワーク効果についていけなかった何百もの忘れられた競合他社の屍の上に生まれました。
これが、成功したプラットフォームにほとんど競争相手がいない理由です。誰も彼らが作り上げたネットワーク効果に対抗できないのです。例えば、Twitchのようなプラットフォームは例外ですが、それでも大きなユーザーベースを持つ既存のプラットフォームとの激しい競争に直面しています。
これらのエコシステムにプロダクトを作ることは、プラットフォーム側が自由に「パートナー」を禁止したり変更したりできるため、どんどん魅力がなくなっています。
組成性(Composability)の最大化
ネットワーク効果について考えてみましょう。ネットワーク効果とは、あるサービスや製品の利用者が増えるほど、そのサービスや製品の価値が高まる現象を指します。これを理解する最も簡単な方法は、大手テクノロジー企業の例を見てみることです。
例えば、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアは、利用者が多ければ多いほど、友達とつながりやすくなり、その価値が高まります。同様に、Amazonのようなオンラインマーケットプレイスも、売り手や買い手が増えるほど、商品の選択肢が広がり、便利になります。このように、利用者が増えることでサービスの価値が高まり、さらに多くの利用者を引きつけるのがネットワーク効果の特徴です。
Google、Facebook、Instagramなどは世界中で競合他社がいないことに気付くでしょう。なぜなら、それらは純粋なソフトウェア製品だからです。しかし、ソフトウエア以外の企業についてはそうではありません。AmazonはインドのFlipkart、南アジアのLazada、中国のAlibaba、日本のRakuten、南アメリカのMercadoLibreなどとの競争に直面しています。
問題は、これらの国内プレーヤーが協力してグローバルな競合他社を作り出すことができないことです。Amazonは、地球規模の供給や物流のネットワークを苦労して構築したことで、はるかに大きな規模の経済を享受しています。
組成性はなぜ重視すべきか
Web3のプロダクトが強化すべき重要なポイントは、組成性です。組成性とは、異なるアプリやサービスが互いに連携し、新しい機能や価値を生み出す能力を指します。
例えば、Web3の世界では、あるアプリで作成したデジタルアイテムを別のアプリで使用できるようになることが組成性の一例です。これにより、ユーザーは複数のサービスをシームレスに利用でき、全体的な体験が向上します。このような連携が進むことで、Web3のエコシステム全体がより魅力的で使いやすいものになるのです。
重要なのは、パブリックネットワーク(誰でもアクセスできるネットワーク)を大きくする一方で、プライベートインターフェース(限られた人だけがアクセスできる部分)も認めることです。それ以外のことはあまり重要ではありません。
組成性のあるパブリックネットワークを作ることで、クリエーターとファンが直接つながりやすくなり、より良い収益化やブランド構築、プロダクトの改善、豊かなユーザー体験が実現します。ネットワーク効果(利用者が増えることで価値が高まる効果)を最大限に引き出すためには、組成性を徹底的に高める必要があります。
ネットワーク効果の本質とその影響
この考え方をライドシェアリング(車の相乗りサービス)や旅行予約の分野に適用してみましょう。
Uberの競合としてオープンなライドシェアリングネットワークを構築するためには、ライダーとドライバーが単一の企業に依存せずに互いに取引できるようにする必要があります。これには、マッチングシステムをする上で誰にでもアクセス可能な運転手と乗客のプロファイルが必要です。それぞれの評価が公開されていると、信頼を構築し、取引を容易にします。
そして、すべてのインターフェースで使えるオープンな支払いシステムが必要です。その上で、さまざまなサービスを提供するアプリ、オペレーション、カスタマーサポートチームを中央集権化して持つことができます。ヘリコプターやボートという多様な選択肢が、追加料金に応じて存在します。
各インターフェースには各エンティティが中央集権的に管理するマッチングアルゴリズム、価格モデルなどがあります。ポイントは、彼らがネットワーク上での権力を持たないということです。
スタートアップが既存のプラットフォームと競合する唯一の方法
AirBnBやBooking.comの競合になるためには、ゲストとホストが単一のアプリケーションに依存せずに互いを発見して取引できるようにする必要があります。これにはリアルタイムの宿泊情報の更新、価格設定が誰でもできるようにする必要があります。これには、ネットワーク全体で使えるオープンな支払いシステムが必要です。
その上で、異なるタイプの顧客ニーズに合わせて、家族向け、ロマンチック、冒険的、遊牧民的などの選択肢を提供する様々なインターフェースを持つことができます。これらは中央集権化されたエンティティによって運営されますが、ネットワークを所有していません。
上記を達成する道は明らかでも簡単でもありませんし、既存のプラットフォームにはこれを行うインセンティブがありません。彼らが動くのは最後でしょう。組成可能なプロダクトが現れて影響力を持って初めて反応します。
スタートアップが既存のプラットフォームと競合する唯一の方法は、共有ネットワークを構築するというアイデアの周辺で多くのプロジェクトを巻き込むことです。基盤となるネットワークへのアクセスが可能である限り、分散型の恩恵は受けられます。どんな単一エンティティも参加者を検閲したりルール変更をしたりすることはできません。目標は、これらの公共のネットワークに適応する特別な消費者向けプロダクトのインターフェースを構築することです。
これを行う方法の1つは、既存プラットフォームの手が届いていないニッチな分野を攻めることです。そして、クリエーターとユーザーが望む最高のインターフェースを作ることです。優れたユーザー体験を提供するだけでなく、インターフェース内に閉じ込められていない共通のネットワークを支えます。あなたがネットワークの保有者の一部になるのです。
※Superteamのブログ ”Stop Building for Crypto Twitter”(2022年10月9日公開)を日本語に翻訳・編集したモノです。
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